総務省提言で変わる広告新戦略!「攻め」のデータ戦略と「守り」のアドベリ。広告主が今取るべき一手とは?

コラム

総務省提言で変わる広告新戦略!「攻め」のデータ戦略と「守り」のアドベリ。広告主が今取るべき一手とは?

2025年6月、総務省から「デジタル広告の適正かつ効果的な配信に向けた広告主等向けガイダンス」が発表され、デジタル広告におけるブランドセーフティやアドフラウド対策の重要性があらためて示されました。広告主にとって、これらの対策はもはや“待ったなし”の状況です。

第一弾インタビューでは、Momentum株式会社(以下、モメンタム)の代表取締役社長 細井康平氏に、最新の課題認識やモメンタムの取り組みについて伺いました。今回はその続編として、Supership株式会社(以下、Supership)ビジネスコンサルティング2部の細矢光輝と、モメンタム事業推進部セールスGの鈴木優里氏をお迎えし、両社の連携によって生まれる具体的なソリューションと、それが広告主にもたらす価値について、現場のリアルな声と共に語っていただきました。

アドベリ意識は高まるも、理想と現実にはギャップ? 現場担当者が語る広告主の“本音”

――まず、第一弾の細井代表のインタビューではアドベリフィケーションの重要性が語られましたが、お二人が日々広告主様と接する中で、アドベリに関する“本音の課題”や“リアルな悩み”とは何だと感じますか?率直にお聞かせください。

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Supership株式会社 ビジネスコンサルティング事業領域 ビジネスコンサルティング2部 細矢 光輝

細矢(Supership): そうですね、 10年ほど前、私がアドネットワークの事業会社に在籍していた当時は、正直どこも「無法地帯」のような状況で(笑)。当時はクリエイティブも配信面も「やったもん勝ち」でしたし、アドベリフィケーションという言葉自体、ほとんど知られていなかったと思います。そこから現在では総務省のガイダンスが公開され、業界全体として「ちゃんとしないといけないよね」という意識は確実に高まっていると感じます。ただ一方で、広告主様とお話していると、「重要性は理解できるけれど、具体的に何から手をつければ良いのか分からない」「対策にかかるコストに対して、本当に効果があるの?」といったお悩みや疑問の声をいただくこともまだまだ多いのが現状です。

Momentum株式会社 事業推進部 セールスG 鈴木 優里

鈴木氏(モメンタム): 私も、異業種からMomentumに来た当初は、「アドベリフィケーションって一体何だろう?」という状態でした。でも、実際にお客様の広告配信の実態を見て、例えば誰もが知る有名企業の広告が意図せず不適切なサイトに出てしまっているのを目にしたり、広告費の何割かが不正なクリックに消えているというデータを見たりするうちに、「これは本当に他人事じゃない。すぐに対策しないと大変なことになる!」という強い危機感を覚えました。

広告主様とお話しする中で、アドベリフィケーションの必要性は感じていらっしゃるものの、日々の業務に追われてなかなか具体的な対策まで手が回らなかったり、効果が直接的な数値で見えにくいために後回しになってしまったり…そういったジレンマを抱えていらっしゃる方も多いと感じています。

広告主が抱えるアドベリフィケーションの具体的なリスクとは?

――アドベリフィケーションの重要性への理解は進みつつも、具体的な対策にはまだハードルがある、というのが広告主様のリアルな悩みのようですね。では、そもそも広告主の方々がアドベリフィケーション対策を講じなかった場合に、具体的にどのようなリスクに直面する可能性があるのでしょうか? よりイメージしやすくご説明いただけますか。

鈴木氏(モメンタム): はい、例えば「アドフラウド」ですが、これはプログラムなどを使って広告の表示やクリックを不正に水増しし、広告費を搾取する行為です。広告主様からすれば、成果に繋がらない広告費を支払い続けることになります。

▼アドフラウドのリスク

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【解説】上の図のように、アドフラウド実行者は不正なボットや自身のウェブサイトを使い、広告の表示やクリックを偽装します。広告主は出稿した広告費が、知らず知らずのうちに不正業者に搾取されてしまうのです。

また、「ブランド毀損リスク」とは、自社の広告が、例えば著作権侵害コンテンツやヘイトスピーチを掲載しているサイトなど、ブランドイメージにそぐわない場所に表示されてしまうリスクです。

▼ブランド毀損リスク

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【解説】公序良俗に反するサイト、著作権侵害サイト、ヘイトスピーチやフェイクニュースを助長するサイトなどが、ブランド毀損リスクのあるコンテンツの例です。広告主が意図しない場所に広告が表示されることで、ブランドイメージが大きく損なわれる可能性があります。

特にYouTube広告などでは、対策をしないと25%~50%もの広告費が、こうしたブランドセーフティ上問題のあるチャンネルに配信されてしまうケースも実際にあります。

【解説】この表は、実際にMomentum社が調査したYouTube広告の配信実態の一部です。業種によっては広告費の約半数がブランドセーフティ上問題のあるチャンネルに配信されていたケースもありました。適切な対策を講じることで、こうしたリスクを回避し、広告効果を高めることができます。

鈴木氏(モメンタム): こうしたリスクがある中で、これまではアドベリフィケーションが「直接的な広告効果改善ツールではない」と捉えられ、対策が後回しにされることが少なくありませんでした。その結果、お客様の広告費が知らず知らずのうちに無駄になってしまっていることに、もどかしさを感じていたんです。今回の総務省によるガイダンスは、そうした状況を変え、より多くの方々にアドベリフィケーションの重要性を理解していただくための、非常に良いきっかけになると考えています。Momentumはこれからも、広告主様が安心して広告展開できる「安全な土壌」を提供することに注力してまいります。

細矢(Supership): そして、まさに鈴木さんがおっしゃったMomentum社が築いたその「安全な土壌」があったうえで、我々Supershipの持つ「データ」という武器が最大限に活かせると考えています。つまり、「守り」が万全だからこそ、「攻め」の広告戦略で大きな成果を追求できる。この連携こそがグループとしての提供価値だと考えています。大げさではなく、今の時代、アドベリフィケーションツールなしで広告配信するなんて考えられません。

Supershipの「データ戦略」とMomentumの「安全ベルト」が実現する独自の広告効果

――では、Supership社の強みである「データ活用」は、広告主のマーケティング成果にどのように貢献するのでしょうか?そして、Momentum社は「安全ベルト」として、どのように広告の信頼性や透明性を担保し、Supership社の戦略を支えるのですか?

細矢(Supership): SupershipのDMP(データ・マネジメント・プラットフォーム)である「Fortuna」が、我々のデータ戦略の中核を担います。
「Fortuna」の最大の強みは、KDDIグループとの連携により、KDDIがお客様から適切な同意を得てお預かりしている貴重なデータを活用できる点にあります。昨今、Cookie規制などの影響で1st Party Dataの重要性がますます高まっていますが、まさにこのKDDIから連携されるデータは、その質の高さと規模において国内でも有数であり、広告主様の持続可能なマーケティング活動の実現に不可欠なものです。これには、性別・年齢・居住地といった基本的な属性情報に加え、KDDIサービスの加入状況やご利用端末の情報などが含まれ(※)、これらは国内でも有数の規模と質を誇るデータです。
Supershipでは、これらのデータを「Fortuna」を通じて安全に利活用し、さらに多様な提携パートナーのデータと掛け合わせることで、広告主様の様々な目的に応じた、極めて高精度なターゲティングを可能にします。
例えば、ブランド認知を向上させたい広告主様であれば、これまでリーチが難しかった潜在顧客層へ、安全かつ効率的にメッセージを届けることができます。また、購買を促進したい場合は、より購買意欲の高い層へ無駄なくアプローチすることで、CPA改善やROAS向上、さらにはLTV(顧客生涯価値)の高い優良顧客の獲得に繋げることが可能です。
この高精度なデータ活用戦略を、Momentum社が保証するクリーンな広告環境、つまり広告の「質」が担保された上で行うことで、広告効果は最大化されるのです。

(※プライバシー保護のため、Supershipが利用するデータは、誰の情報であるか分からない形式に適切に加工処理を施しており、氏名や住所など個人を特定できる情報は含まれていません。また、電話番号・メールアドレスについてはハッシュ化による安全な加工を行っています。詳しくはKDDIの「当社グループ会社を介したデジタル広告の配信等」のページをご確認ください。)

鈴木氏(モメンタム): まさにその通りで、弊社はJICDAQの「ブランドセーフティ認証」「無効トラフィック対策認証」の両部門を、第三者認証という最も厳しい条件で毎年取得しているベンダーとしての誇りを持って、「無価値な広告をゼロにする」ことを目指し、多様な脅威から広告を守るソリューションを提供しています。
独自の検知技術と月間10億を超える膨大なURL解析データ、そして専門家による厳正な審査を組み合わせることで、アプリやYouTube広告を含む様々なチャネルにおいて、不適切な配信先を排除しています。これにより、お客様の広告配信における「安全性」と「透明性」を飛躍的に高め、Supership社のデータ戦略がクリーンな環境で実施されることを保証します。

これまでは、弊社のサービスは主に広告代理店様に導入いただき、デフォルトで対策を行っていただくケースが多く見られました。そのため、広告主様ご自身は、弊社のサービスが適用されていることに気づいていない場合も少なくなかったかもしれません。しかし、これからの時代は、広告主様の経営層が主体となって、自社の広告が「安全ベルト」を締めた状態で配信されているのかを把握しておくことが極めて重要だと考えています。そのために、例えば広告代理店様向けには「HYTRA DASHBOARD」という管理画面を提供しており、これを通じてリアルタイムでリスクのある配信状況の傾向を把握しやすくする取り組みも行っています。

HYTRA DASHBOARD イメージ

――Supershipのデータ戦略とMomentumの安全対策が連携することで、広告主にとってどのような「独自の提供価値」が生まれるのでしょうか?複数の広告代理店を利用している広告主様の課題解決にも繋がりますか?

細矢(Supership): 我々が提供する価値は、まさに「安全ベルトを締めながら、データのアクセルを踏み込む」ことです。広告主様は、常に「自社のブランドを守ること」と「広告効果の最大化」という二つの重要な目標を追求されています。
Momentumの「安全フラグ」が立った配信先に限定し、Supershipのデータを活用することで、広告主様はリスクを気にすることなく、本当に届けたい相手に、最適なメッセージを届けるという「攻め」のマーケティングに集中できます。
過去に実施した例では、ブランドリフトサーベイ(BLS)において、Momentumのソリューションを導入した場合とそうでない場合で比較した結果、導入した方が認知リフト値が向上しました。Supershipのデータを掛け合わせることで、より精緻なユーザーに配信でき、さらなるリフト向上に貢献できると考えています。

また、TVerとAbemaにおいてはブランドリフトサーベイ(BLS)を活用して、良好にリフトアップした質の高いユーザーをシードデータとして拡張配信を行うことも可能です。実は直近の例でも、この取り組みにより適切な予算が組め、思い切ってデジタル広告に予算を投入する判断をいただけた結果、配信金額が前月比で500%増となりました!

鈴木氏(モメンタム): 複数の広告代理店をご利用されている場合、広告配信の品質を一貫して高く保つことは容易ではありません。例えば、4社中2社はアドベリ対策をしているけれど、残りの2社はしていないとなると、共通の基準でのブランドセーフな配信は難しくなります。代理店ごとにアドベリフィケーションの運用レベルや適用するリストに差が出てしまうことも考えられます。

このような状況において非常に重要なのは、広告主様ご自身が主体となって、自社としての広告掲載基準やアドベリフィケーションの方針を明確に策定し、それを一元的に管理することです。弊社では、お客様に合わせた安全なリストの作成から運用まで、丁寧に伴走支援しています。一度作成・整備した基準を、各広告代理店に共通のポリシーとして展開したり、自社運用の際にも適用することで、広告価値の毀損を未然に防ぎ、一貫したブランドイメージを保つことが可能になります。これにより、Supershipのデータ戦略も、どの代理店経由であっても安心して展開できるようになります。

――広告効果の最大化という点で、もう少し詳しくお聞きしたいです。アドベリフィケーションとデータ活用を組み合わせることで、CPAやROASの改善、さらにはLTVの向上といった成果にどう繋がるのでしょうか?

細矢(Supership): 従来のマーケティング効果最大化の議論では、アドベリフィケーションによる「質の低いトラフィックの排除」という側面が見過ごされがちでした。いくら精緻なターゲティングを行っても、その広告が不正なサイトに表示されたり、ボットに見られたりしていては、真の効果は見えません。
我々の連携は、まずMomentum社によって「広告投資の無駄を徹底的に排除し、計測データのノイズを取り除く」ことから始まります。その上で、Supershipのデータと分析力を活用して「本当に価値のある顧客(LTVの高い顧客)にリーチし、エンゲージメントを高める」施策を実行します。つまり、土台となる広告配信環境をクリーンにすることで、マーケティング施策全体の精度と効果が飛躍的に向上するのです。これにより、短期的なCPA改善だけでなく、長期的なブランド育成や優良顧客の獲得・維持といったLTVの最大化にも貢献できると考えています。

デジタル広告の「信頼」と「成果」を共に

――デジタル広告業界が大きな変革期を迎える中、SupershipとMomentumはグループとして、広告主や業界と共にどのような未来を築いていきたいとお考えですか? そして、その未来を実現するために、アドベリフィケーションの重要性を認識しつつも次の一手に悩む広告主やマーケターの皆様へ、力強いメッセージをお願いします。

細矢(Supership): これだけは覚えていただきたいです。データマーケティングならSupership! 企業や代理店がブランド毀損を防ぐのは当然のことだと考えております。むしろ不適切なサイトに広告が出てしまったら、お金をかけてマイナスブランディングになってしまいます。SupershipはMomentumと連携し、広告配信面の安全性を担保した上で、様々なデータを活用しながら広告施策を実行することが可能です。アクチュアルな実績だけでなく、広告主のブランド価値向上にも貢献することをSupershipとしては目指していきたい。総務省の提言も追い風とし、Momentum社の最先端のアドベリ技術と、Supershipのデータテクノロジーを融合させ、常に一歩先を行くソリューションを提供し続けます。将来的には、リスク回避だけでなく、データを活用してより創造的で、生活者にとっても価値のある広告体験を生み出すことにも貢献していきたいです。

鈴木氏(モメンタム): 私たちは、広告主、媒体社、そして生活者の皆様、デジタル広告市場に関わる全ての方々にとって「信頼」できる環境の実現を目指しています。生成AIの発達により、不正な手法で広告収益を搾取する事業者が年々増加している現状があります。これに対しMomentumは、さらなる技術開発と多角的なアプローチによって、アドベリフィケーションにおける「包括的な対応力」で業界全体の健全化に貢献してまいります。
アドベリフィケーションに関してこれまで興味がなかったという方も、私が分かりやすくお伝えしますのでご安心ください!自社の広告配信は大丈夫かな?と心配な方も、私が調査しますのでお気軽にお問い合わせください。まずは様々なリスクが潜んでいることに目を向けていただきたいのです。アドベリフィケーションは、決して特別な対策ではありません。むしろ、効果的な広告活動を行う上での揺るぎない「土台」です。その土台作りを私たちは全力でサポートさせていただきますので、ぜひ一緒に、デジタル広告市場の健全化を推進していきましょう。

細矢(Supership): 「守り」を固めた上で、「攻め」の戦略を考えることが、これからのデジタル広告のスタンダードです。「自社の広告は本当に安全か?」「もっと効果を高めたい」こうした課題をお持ちでしたら、ぜひSupershipグループにご相談ください。アドベリフィケーションも効果も弊社にお任せください。デジタル広告の「信頼」と「成果」を、私たちと一緒に実現しましょう。

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SupershipグループのMomentumは、日本語に特化した言語解析技術と独自データを活用したアドフラウド検知技術を基盤に、日本のデジタル広告業界の健全化への取り組みを牽引するアドベリフィケーションソリューションカンパニーです。アドプラットフォーム・広告主・広告代理店など、様々な企業のニーズにあわせた「HYTRA」ブランドのサービスを提供しています。

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